第一章
橋が架かる前の、角島
角島は、日本海に浮かぶ離島でした。周囲を澄んだ海に囲まれ、人々は漁とともに暮らしてきました。 本州とは船で結ばれ、島へ渡ることは、そのまま海を渡ることでした。低くやわらかな島の稜線、 岩礁に砕ける波、干した「めのは(わかめ)」の小屋——島の風景は、海の恵みと隣り合わせにありました。
第二章
1876年の、角島灯台
角島灯台は、英国人技師 R・H・ブラントンの設計により、1876年(明治9年)に完成し、灯りをともしました。 高さ約29.62メートルの塔は、無塗装の御影石造り。日本海の海路を照らし続け、2020年には国の重要文化財に 指定されました。そして2026年は、点灯から150周年の節目にあたります。いまも登れる灯台として、 らせん階段の先に、島と海を見渡す景色が待っています。
第三章
2000年の、角島大橋
2000年、角島大橋が開通しました。全長は約1,780メートル。いまも無料で通行できるこの橋は、 角島でもっとも知られた景色になりました。橋がゆるやかに描く曲線は、浅瀬の色を避けるように 引かれた線でもあります。橋、エメラルドグリーンの浅瀬、小さな鳩島、そして奥に横たわる角島—— いくつもの層が重なって、あの一枚の風景が生まれます。橋ができてから、角島への旅は「渡る」ものから 「走る」ものへと変わりました。本州側の展望台が、多くの人にとっての撮影の入口になったのも、この橋があってこそです。